ガラパゴスケータイvsスマートフォン

第一回担当の吉田智樹です。

さて、始まってしまいました、「IT&モバイル講座初級編」
第一回はスマートフォンについて

どう考えても1回では終えられない内容なので三回に分けて解説していきます。

第一回はガラパゴスケータイとスマートフォンって何?

第二回にスマートフォンのメリットとデメリット

第三回がどのスマートフォンが使いやすい?

こんな感じで説明していきます。

お題を見ていて気がついた事ですが、スマートフォンについてと言いながら実際のところガラパゴスが何かという部分について聞かれているような気がします。

ではまず最初に、ガラパゴスについて。 

地図で見る 

ガラパゴス諸島は、ギアナ高地と同じように、外界から隔絶された環境で、周囲の外界とは異なった独自の生態系でなりたっている土地です。

ガラパゴス諸島についてもっと知りたい方は「日本ガラパゴスの会」さんでチェックしてみてください。

以上。ガラパゴスについての説明でした。 

続いて、ガラパゴスケータイについて 
上記のガラパゴスのように日本の携帯電話は「周囲と隔絶した環境で独自の進化」したと海外で言われ初めて、最近「ガラパゴスケータイ=ガラケー」と呼ばれるようになりました。一般的に日本国内で販売されているケータイはほとんどがガラパゴスケータイと思ってかまいません。 
◆ガラケーは凄い! 
独自の進化をした日本のメーカーは海外では勝負できないと批判の対象になっていく部分が多いガラケーですが、私自身は決して悪い事ではないと思っています。 
手元にあるケータイを見ていただければわかるとは思いますが、

・カメラ機能

・赤外線通信

・ワンセグ受信(テレビ機能)

・ゲーム端末(アプリ)

・エンターテイメント端末(音楽プレーヤー)

・チケット端末(SUICA等)

・クレジットカード端末(iD等、おサイフケータイ)

・緊急情報端末(地震速報)

・インターネット端末(メールとか色々)

これだけの機能が手の中に収まるようにできています。 
日本のケータイは海外での販売方法と違い通信事業者(docomoやソフトバンク、au等キャリア)を最上位とした販売形態をとっています。携帯電話にカメラを取り付けるだけであればメーカーで勝手に研究開発が行えますが、クレジットカードなどの料金回収代行を行うためのシステムとなるとキャリアと端末の両方が同じ技術で対応しないとサービスの提供を受ける事ができません。裏を返せば新しいサービスなどを開始するためには端末とネットワークの同時進化が必要となります。

日本ではすぐに提供されるサービスも海外では世代交代を待つ事が多くなります。

docomoで言えばmovaからFOMAへ変更でのタイミングでしか新サービスの提供はできないと言う事になります。

その為、海外メーカーにとっては日本への参入を避ける傾向にあるのは新サービスの導入速度が速すぎるため、実質日本専用モデルを準備する必要があるためです。

iPhoneが話題になったのはソフトウェアによる機能の追加が気軽にできると言う部分が海外のユーザーに人気が出た理由になります。

日本国内は・・・流行り物だからでしょうか? 
◆ガラケーは全部入り! 
さて、ガラパゴスケータイの良いところをあげてきましたが、当然のことながら微妙な部分もあります。

何でも一つの端末に搭載するという技術志向の結果、開発費が尋常じゃない規模になり、ユーザーが使いこなせない機能、メーカーとして伝えきれない機能があふれだし、結果として海外からなんじゃありゃ?と言われてしまったというのが現在のガラパゴスケータイです。

また、システムの限界まで使い切る職人技により、後々の機能拡張はほぼ不可能となっています。

最近「情報ダイエット」と言う言葉がちらほら聞かれるようになってきて、ケータイこそ情報ダイエットが必要なのではないかと感じます。 
◆ガラケーとは? 
ここまでざっくりとまとめると、ガラケーは

色々できるが機能が詰め込みすぎて身動きがとれなくなりつつある凄いケータイ

と覚えておけば大丈夫です。

堅苦しく説明すれば

単純な音声通信端末からコミュニケーション端末/インターネット端末というステップを経て人の自由な生活をサポートする「超高性能な情報通信を実現する携帯機器」の到達点、一般的にはガラパゴスケータイと呼ばれる。

と言う事だそうです。何言ってるかわかりません。 
◆ちょっと脇道で海外のケータイ事情と日本のケータイの売れない理由 
海外で勝負できないとされる日本のケータイですが、そもそも海外ではどのようなケータイが主流なのかわからない方が多いと思うのでちょっと脇道にそれますが海外でのケータイ事情を簡単に説明しておきます。 
海外ではごく一部を除きサービス提供と端末販売は別々に行われています。最近総務省が騒いでいる「SIMフリー」と言う物が海外では主流になります。 


これがアメリカでのケータイ販売の自動販売機です。本体は自動販売機やスーパーなどで販売されているので気に入った端末を買います。 


これがSIMカードですが、このカードを自分の手持ちのケータイに差し込んで使います。販売はキャリアの販売店から購入します。

通常はSIMカード(1000円~2000円程度)を購入して契約期間あるいは契約容量を決めて支払います。

期間では最短1日から最大2年間まで選べます。docomo等の海外ローミングと言うのはdocomoが代理で海外のキャリアと契約している状態の事です。 
海外で使われるケータイを日本のモデルに当てはめるとdocomoのらくらくホン ベーシックⅡこれからiチャネルとデコメール、地図ナビを外せば世界標準のケータイができます。

現在、海外でもっとも高性能なケータイが、NokiaのN97(日本では未発売)です。これの性能を見ると

・500万画素のカメラ搭載

・テトリスやレースゲームなどを標準搭載

・最大4GBの音楽プレーヤーとして使用可能

・フルブラウザ対応(インターネットを見る事ができます)

・GPS機能で現在位置の確認が可能

・DVD品質での録画に対応

・ラジオ受信に対応

となりますが、適当に日本のケータイを見てもこれより機能の少ないケータイを探すのが大変だと思います。

ではなぜ日本のケータイが海外では売れないのかと言えば、単純に価格が高いと言う点になります。

アメリカでケータイを買おうとすれば標準的な物で4~8千円程度、N97で2~3万円程度で買う事ができますが、日本のモデルを売ろうとすると、8~15万程度のモデルが多くなります。性能重視の人ですら購入するのに躊躇する価格差になっています。 
◆スマートフォンて? 


さて、ここまで来てようやくスマートフォンについてです。 
ちょっと前では、「iPhone 3G」が発売になった2008/07/11の表参道店での行列は、覚えているかと思います。

・ソフトバンク表参道に早くもiPhone行列、一番乗りはアノ社長

・ついにiPhoneが発売開始、表参道には1000人以上が行列 
あとは、docomo等で増えてきているAndroid搭載の「Xperia SO-01B」「GALAXY S SC-02B」が記憶に新しいかと思います。 


これらがスマートフォンですと言ってしまえばそこまでで終わってしまう。何を持ってスマートフォンというのかと言う部分を考えると、元々はBlackBerryの発売当初に外出先でパソコンを広げなくてもスマートに作業ができる高機能ケータイとして作った言葉になります。

パソコンと同期する事でスケジュール管理やファイルのやりとりが可能になったため、初期の頃はビジネス用途での採用が多かったようです。 
現状ではある程度気軽に機能の追加ができる物がスマートフォンとして扱われています。初期機能がほぼ電話とメールのみに必要なソフトウェアをユーザーで選んで追加する使用方法が主流となります。

ガラケーに慣れた人にとっては機能追加がわからないと何もできないケータイになってしまうので注意が必要です。

最近発売されたXperiaなどは最初からソフトは行ってきて色々できるようになっていますし、次世代のケータイもある程度のソフトは導入済みのようですが、そういった意味ではガラケーと替わらない、物によってはより低機能なケータイとなってしまう場合がありますので注意が必要です。

カスタマイズについては次回のメリット、デメリットで紹介予定です。 
◆スマートフォンの主流 
日本国内に限って言えばソフトバンクから提供されているiPhoneが間違いなく今の主流です。 
海外では制限がかかるほどネットワークの占有率が高いそうです。 
どういう事かというと、スマートフォンやネットが見る事ができるケータイを持っていてもあまりケータイでネットを見る事がありませんでした。iPhoneを使っていると音楽、アプリの購入等、ネットを見ない人でもネットを使う環境が整えられてしまった事があげられます。

日本ではソフトバンクが提供していますが帯域制限は海外と比べて非常に緩い制限となっています。 
◆ガラケーvsスマートフォン 
私は次のようにガラケーとスマートフォンを捉えています。 
・ガラパゴスケータイ=クローズドな安全携帯 
昨今のコミュニティサイトでの問題を始まりとしたフィルタリング規制や、中高生の利用に関する行政からの規制など、ガラパゴスケータイへの規制は年々強くなってきています。規制と聞けば聞こえが悪いですが、ガラケーではスマートフォンと比べて「安全に」「安心して」インターネットをできる環境が用意されてきていますまた、機能拡張が行われないという部分も見方を変えれば不正なソフトの介入する余地がないために壊れて使えなくなったと言うことが限りなく少ない点でも安定していると言えます。

規制に囲まれた「安全」が真っ当な物かどうかは全く別の話なので置いときますが、基本的にはガラケーはある程度閉鎖的(クローズド)な環境の代わりに安全で安心できる環境のケータイという位置づけになるでしょう。

 
・スマートフォン=オープンな自由携帯 
iPhoneやAndroidに代表されるスマートフォンはPCと同一環境=オープンなインターネット環境の利用が基本環境となっています。そのため自由度の高い規制のないインターネットの利用を前提としたスマートフォンは利用する際にインターネットに関して一定の理解が必要となります。

また、機能拡張ができるという点では優れていますが、拡張された機能が正常に動作するかと言う保証は一切ありません。

ソフトを入れたら電話機能が使えなくなったとかよくある話です。
 
壊れてしまった場合に自力で解決する必要がある為、自由に機能を増やせる代わりに自己責任で行う必要があるケータイとなります。 
これらを踏まえてガラケーとスマートフォンの棲み分けをすると自由を求めるヒトがスマートフォンを手に取り、変化をあまり求めない方或いは安全に使うヒトがガラパゴスケータイを手にする、という棲み分けが将来的に生じると思います。 
と言う事で、今回はガラパゴスケータイとスマートフォンについて説明しました。 
次回はスマートフォンのメリットとデメリットについて説明します。 
2010/12/01

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